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ビジネスライフ学科

専門図書館の取り組みから学ぶ ー千葉市男女共同参画センター情報資料センター見学会報告-

本学で司書課程を担当している齊藤誠一です。司書課程の授業と同時に専門ゼミ(情報サービス技法ゼミ)も担当し、司書をめざしている学生諸君の指導にあたっています。

このゼミの取り組みとして、先月の15日、千葉市男女共同参画センター情報資料センターの見学会を行いました。

図書館といっても公共図書館、大学図書館、学校図書館、そして専門図書館などさまざまな館種があります。私のゼミでは、それらの図書館を訪れ、その機能やサービスの内容を実際に見て学ぶ取り組みを行っています。新型コロナウイルスの蔓延によって見学会そのものを実施することがなかなか難しい状況ですが、今回は、予防対策を講じながら専門図書館といえる同情報資料センターを訪問しました。。

千葉市男女共同参画センターは、すべての市民が、男女の別なく個人として尊重され、お互いに対等な立場であらゆる分野に参画する機会を保障され、責任を分かち合う男女共同参画社会をめざし、積極的な活動を続けています。また、同センターの情報資料センターでは、多くの関連資料を揃え、独自の分類体系によって資料をわかりやすく配列しています。千葉市在住・在勤者であれば10冊まで2週間、資料を借りることができます。また各コーナーでは関連展示なども行い、利用者の関心を高める取り組みも行われていました。

特にSDGsへの取り組みも積極的に行っており、多くのSDGs関連図書を揃え、また展示パネルなどを使った特別なコーナーを設けていました

SDGsは、皆さんご存知のとおり国連が提唱する国際的な取り組みですが、まだまだ浸透してきているとは言い難く、この活動を広めていく必要があると思います。

同情報資料センターは、私が関わる「千葉市図書館情報ネットワーク協議会」(千葉市内の各種図書館を横断的につなぐ組織で、今年の6月まで私が会長を務めていました)の加盟館です。その関係で、国連広報センターの千葉潔氏(国連広報センター知識管理担当官)をご紹介いただき、先の協議会主催の講演会「SDGsと図書館」を行っています(令和3年10月14日(木) Zoomにて開催)。たいへんわかりやすいお話をしていただき、かつ高等学校での取り組みや図書館での取り組みの事例などもご紹介いただきました。この講演会を機に学生への働きかけの必要性を強く感じて、今回の訪問につながりました。

また、このことが直接のきっかけではないのですが、タイムリーなことがありました。全国の公共図書館職員を対象とした研修会が文部科学省の主催で毎年行われています。今年もこの「令和4年度図書館司書専門講座」に講師として登壇させていただき、「図書館サービスの論点整理~SDGsを合い言葉にしてつながる図書館~」と題にて講義を行いました。

文部科学省は、2006年に「これからの図書館像―地域を支える情報拠点をめざして」を発表し、これからの図書館は、地域の課題解決支援に力を入れていくという方向性を打ち出しています。私は、公共図書館の最大のミッションは、地域を意識し、地域の住民に対するサービスを徹底して行っていくことだと考えています。したがって「地域の課題解決支援」というキーワードを実践し、その取り組みを進めてきました。

しかし、今回の新型コロナウイルス感染症の蔓延をみてもわかるとおり、グローバルに対応しなければ解決しない事案も多くなっています。SDGsでは、「世界的な課題解決」をめざして、17のゴール([貧困][飢餓][保健][教育][ジェンダー][水・衛生][エネルギー][経済成長と雇用][インフラ、産業化、イノベーション][不平等][持続可能な都市][持続可能な消費と生産][気候変動][海洋資源][陸上資源][平和][実施手段])と169のターゲットを設け、活動を続けています。

「地域の課題解決支援」と同時に「世界規模での課題解決支援」について、我々は再度認識する必要があります。

そのことを積極的に訴えている図書館が千葉市内にもあり、関連する情報が揃えられていることを学生たちに知ってもらい、そのような図書館サービスの担い手になってもらいたいと強く感じています。

千葉市男女共同参画センターは、SDGsだけでなく、ジェンダー等、男女共同参画に関する情報を提供し、かつ興味深い講演会などをとおして啓蒙活動を積極的に行っています。

今後も連携を図りながら、協働した活動を行っていき、学生が深く志向するヒントを提供していきたいと思っています。

<持続可能な開発目標SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは>持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)別ウィンドウで開くの後継として,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。(外務省)

By 齊藤誠一

〔参考情報〕