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こども学科

ピアノの練習とアルバイト

ピアノ担当の高木です。新学期の授業が一巡しました。皆様を取り巻く環境は様々で、学業に専念できる者もアルバイトする者もいれば、奨学金の給付を受けつつ、さらに生計を維持するために働く者もいるでしょう。私は学費の面から教育学部進学を決め、奨学金の予定採用者となり、5月から直ちに支給を受けたものの、それだけでは足りず、様々なアルバイトをしました。そうした体験者として、アルバイトについて言及してみます。

人間は、やりたいことが明確に意識され、それに向かって邁進している時、様々な困難があっても幸せです。むしろ、幸せであるからこそ困難を乗り越えられるのです。本学のカリキュラムは皆様の志を導くためのもので、ピアノもその一貫です。皆様がピアノを道具として活用することができ、子供たちに音楽を提供できれば、保育や教育に大きな力を発揮できます。

古代ギリシアにおいて、音楽は魂に直接訴えかける力を持つとされました(=音楽エートス論)。20世紀においては、戦意高揚に利用されるなど、哀しい使われ方もしましたが、音楽の効能が証明されました。
しかし、保育室・教室にて、皆が一緒に歌うことができれば、様々な感情を胸に登園、登校する幼児、児童の心を一つにできる可能性が極めて高いのです。このことを理解して、その道具たるピアノの技能を獲得して欲しいのです。

練習の蓄積でそうした技能獲得に近づけるという実感を持てれば、進んで練習する気になります。そのリアルな感覚が自らを練習に駆り立て、上達への道筋が見えてきます。私は、皆様に練習を強要したくありません。技能の獲得に練習は不可欠ですが、逆に、皆様への負担を最小にする指導を探求しています。進んで練習している時、負担感は解消しているはずです。日々の練習とアルバイトとは、直接バッティングすることが多いのですが、どうバランスをつけるかは皆様の価値観が決めることです。

(高木 誠)