応援する人・応援される人

応援

コロナ禍で行われた2020東京オリ・パラリンピックは無観客開催となり、私たちはテレビでリモート応援する日々を送った。画面越しの観戦はそれなりに楽しく、試合を終えた選手たちのほっかほっかの言葉に感動もした。

応援

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女子ボクシングで日本初の金メダルを獲得した入江聖奈選手は、「何回もほっぺをつねったんですけど、夢みたいで。たぶん今も、まだ夢の中な気がします。現実ですか?……」とインタビュアに尋ねた。

ボクシング

バドミントンでいつも礼を重んじてコートに立つ奥原希望選手は、準々決勝で敗退した。「悔しいんですけど、自分がこの5年間やってきた答え合わせが終わったなと思いました。これが奥原希望のプレーで、最後まで食らいついたこのプレーが、皆さんに届いたらうれしいと思います」と静かに語った。

バドミントン

 男子サッカーは3位決定戦で惜しくも敗れた。「今日もスタジアムの外でたくさんのサポーターの方が横断幕を掲げてくれて……、メダルで恩返ししたかったです、本当に……」と、吉田麻也選手は唇をかみしめた。

観客席から声援を送ることができなかった私たちの思いは、選手へ届いていったし、選手の志気や感慨のこもごもは、テレビ画面からストレートに伝わってもきた。

サッカー

数年前、テレビドラマ『あすなろ三三七拍子』(原作・重松清)があった。大学野球でエースとして名を博した野口康夫さんは、がんを患って入院して意識が朦朧となっていた。父と同じ大学に入学した健太が、応援団員となったことの報告を兼ねて見舞いに来た。

父はか細い声で話した。―――人間には、人のことを応援できる人間と、応援できない人間の2種類がいる。人のことを応援できない人間は、人からも応援してもらえない。お前は応援団に入ったんだ。とにかく心から応援できる人間になれよ。

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 教師になろうとしている皆さん、保育士になろうとしている皆さん、子どもたちを心から惜しみなく応援する人間になりましょう。子どもたちは、自分たちの「人としての成長」を願って心を砕く先生の、その期待に応えようと背筋を伸ばすでしょう。素敵な“和音”のしらべが教室から聴こえてきます。

(学長 佐久間勝彦)