評価されるのは誰?

ピアノに限らず、学内の試験で評価されるのは誰でしょう。何を今さら、学生に決まっているじゃないかと皆さんはお考えでしょう。実際、通知表には秀、優、良、可、不可といった科目の達成度が個別に記され、その集計から席次も決まってきます。ですから自分であると考えるのは自然のことですが、本来の意味において評価されるのは、担当の教員です。意外に思われるかもしれませんが、自らの実施した授業の成果を自らに対して評価するのが試験です。

我々は授業で皆さんに達成して欲しい内容を講じます。その成果の判定に試験は不可欠です。レポートも提出された内容が授業意図を達成しているかを判定しますから、教室で時間を決めて一斉に行うか、個別に時間をかけて作成するかの違いはあっても、本質的には同じです。学生が優秀か、優秀でないかは全く別問題です。教員が学生の資質に応じて授業を設計し、達成の如何を自らに問うのが試験です。その結果に応じて、設計変更を常に小幅、大幅に行います。

ピアノの場合、前期と後期に1回ずつ年に二度、試験を実施します。試験と呼びますが、内容は発表会で、通常の授業と同様、出席して学ぶべき内容があります。ピアノに限らず、パフォーマンスが問われる表現は、衆目の中でそれを為さねばなりません。最初は緊張もするでしょう。しかし、子どもを前にして緊張したら保育どころではありません。人前で演奏するメンタル訓練、演奏マナー、人の演奏を聴くマナー等を総合的に学ぶのがピアノ試験というわけです。

試験は必ず複数クラスで実施し、複数の教員で採点します。全員が演奏し終えると、教員はそれらを講評し、最後にクラス別に休業中の課題を指示します。自分の指導した学生が良い演奏をすると率直に嬉しい。教員も人間ですから。試験中、ドキドキするのは皆さんと同様、あるいはそれ以上に我々なのです。その後、器楽講師室では教員同士、学生の演奏について和やかに懇談します。前後期ではクラス替えがありますが、学生との相性についても話し合います。試験は受け身でなく、教員側のこんな事情も想像すると、違った光景に見えるかもしれませんね。

(高木)

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