5月26日は「スーパー・フラワー・ブラッド・フル・ムーン」

プリント

5月26日(水)に「皆既月食」を見ることができます。2019年も2020年も日本では皆既月食が見られなかったので、久しぶりということになります。しかも、月食が起こる時刻が18時45分くらいから21時50分くらいまでと、夜の初めの時間帯に起こるので、多くの人にとって見やすいものになるでしょう。みなさん是非、観察しましょう!

国立天文台のサイトによると、皆既(月が全部欠ける)の時刻は、20時9分~20時28分となっています。今回の月食では、月が地球の影の中心から少し離れたところを通るので、皆既の時間が20分くらいと短いようです。でもその分、月の一部が欠けた「部分食」の時間が長くなっています。見かけでは、月の向かって右下から欠けていって皆既になり、その後、向かって左側から光りはじめて元に戻るでしょう。

ちなみに、皆既になっている時間が長かったのは2000年7月16日の月食で、皆既時間がなんと1時間47分もあったそうです。筆者は多分見たはずだけど、よく覚えていません。これに匹敵するほどの皆既時間が次に起こるのは2123年6月9日だそうで、この記事を読んでいる人は(筆者は確実に)見るのが難しそうですね。残念!!

月食は、太陽・地球・月がこの順に一直線に並んだ時に起こります。月の形でいうと、満月=「フル・ムーン」(full moon)のときになります。地球の影の本影部分に月がすべて入ると、月に太陽の光が直接当たらなくなり、皆既状態となります。このとき、陰になったので月は全く見えなくなるかというと、そうはならず、赤銅色(しゃくどういろ:赤黒い色、十円玉の色)に見えます。部分食の間は光っている部分が明るくて分かりませんが、皆既になると、影の部分も結構明るく見えることが分かります。これは、地球の周囲の大気を通り抜けた太陽光が大気のレンズ効果で曲げられて月面に当たって照らしているのです。地球の大気中を通り抜ける間に、太陽光の青っぽい成分が抜けて、赤い光の成分だけが残って赤く見えます。いわば、夕焼けの光で照らされた月の色というところでしょうか。この皆既月食中の赤黒い色の月を「ブラッド・ムーン」と呼びます。ブラッドは、血(blood)のことですね。ちょっと、怖い?!

また最近では、正しい天文用語ではないけれど、月にいろいろな名前を付けて呼ぶことが流行っているようです。たとえば、普段より大きく見える満月を「スーパー・ムーン」(super moon)とか呼んでいます。何と比べて、どれだけ大きければ「スーパー」なのかという点が曖昧なのですが、よく見かけるのは、「その1年の中で最大」というものです。その意味では、実は5月26日の満月は「スーパー・ムーン」です。月の軌道は正しい円ではなく楕円なので、どこで満月になるかによって月と地球の距離が違います。地球に近いところで満月になるとより大きく見え、離れたときに満月になるとより小さく見えることになります。2021年の満月の中では、5月26日が一番近く(スーパー・ムーン)、12月19日が一番遠い(マイクロ・ムーン)になります。大きい・小さいと言っても、直径が十数%変わる程度で、半年前の月のことは覚えていないので、実際に眼で見て分かるのは難しいでしょうね。でも、「そう思ってみる!」という気持ちの問題は大きいかもしれません

もう一つ、最近よく聞くのは、アメリカ先住民が使っていたという月ごとの満月の呼び名です。季節を表した名前を付けていたとのことですが、それによると5月の満月は「フラワー・ムーン」だそうです。まぁ、花(flower)が咲きだす季節ということでしょうか。

ということで、上に出てきた名前を全部つなげると、5月26日の皆既月食中の月は、「スーパー・フラワー・ブラッド・フル・ムーン」ということになります。ぜひ見てみたいので、どうぞその夜は晴れますように!!(祈)
《5月26日(水) の月食(東京):国立天文台による》

プリント

画像は、国立天文台の「ほしぞら情報」に掲載されているものです。
URL ⇒ https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2021/05-topics03.html

それにしても、どこでいつ月食や日食が起こるか、それも場所ごとに秒単位を越えた詳細な時刻が予測(計算)できるというのは、自然に対する人類の飽くなき探求心の成果だと思います。次に日本で見られる月食は、2021年11月19日に部分月食、2022年11月8日に皆既月食だそうです。

《参考文献》
・国立天文台のwebサイト: https://www.nao.ac.jp/
・国立天文台「ほしぞら情報」のwebサイト: https://www.nao.ac.jp/astro/sky/
・天文年鑑編集委員会編著:「天文年鑑2021年版」 誠文堂新光社

(by 井芹)