大人になった虫とり少年

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夏休みが早く来ないかと、小学生の男の子は待ち遠しくてなりませんでした。虫かごを肩に下げて、網をもって近くの草原にチョウやトンボをとりに行く。見かけたことのないチョウをとったときは小躍りして喜び、捕りたくてしかたのないオニヤンマがどうしても捕れなかったときは悔しくてなりませんでした。

コラムニストの泉麻人さんは、虫の立ち居振る舞いの見事さに感服しています。脇の方からフワッと出てきて、気づくとどこかに舞い去る。その登場の仕方は「舞台の呼吸」を心得ている役者のようだというのです(『昆虫少年記』朝日新聞社)。

 

私は今、日曜になるとやってくる5歳の孫と、近くの神社や公園の草むらに虫とりに出かけるのが楽しみでなりません。アゲハはなかなか草に停まってくれず、“遊ばれて”しまっているようです。セミを見つけてそーっと近づいて、網をかけようとするとすばやく察知されて逃げ去られてます。「あーあ!」と孫と顔を見合わせます。

この間、孫の捕まえたショウリョウバッタの体が白くなっていると言われました。それから数日後です。朝起きて虫かごを見に行った孫が「バッタが2つ居る」とびっくりして母に教えに来たそうです。「まさか、枝の切れ端を見間違えたんじゃない?」と思って見に行くと、ほんとにそこにはバッタが2匹居て、一つは脱皮したヌケガラのバッタでした。

そのヌケガラは「ばったの、かわ」と書いた箱にしまわれていて、見せてくれました。

セミの抜け殻はしょっちゅう見かけますが、バッタのヌケガラを見たのは初めてです。あのか細い<脚>を抜け切って、新しいいのちになって草を食べているバッタです。「バッタって、脱皮を繰り返して大きくなっていくんだよ」と、5歳の「豆博士」に教えてもらったこの8月です。

 

思えば、孫は親や私たちの気づかないところで、何度も何度も脱皮を繰り返して、そのたびに賢く成長してきているのです。そういう子どもたちと過ごしていける保育者・教師って、なんと幸せなことでしょう。今日も、“あの子”が脱皮して生まれ変わっています。よく見ていないと、見逃してしまう“感動する・脱皮の瞬間”です。私たちも子どもたちに負けずに日々脱皮して、保育士・教師としての成長を遂げていきましょう。

(学長 佐久間勝彦)