新しい常態ー冷房車

あじさいの花の季節である。今年は観光客が少なく、落ち着いて見ることができる。今回は常識や常態は時代とともに変化するというお話である。

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首都圏の通勤電車に冷房車が登場したのは、今から約50年前のことである。
それまでは新幹線や特急列車などに限られていたものを、当時「酷電」とも評された通勤電車へのサービスとして導入が計画されたのである。

特急車両のようにドアと客室がデッキで完全に区切られているものとは異なり、片側3~4か所にドアがあり、かつ2~3分おきに駅に停車しては大勢の人が乗り降りするという冷房装置にとっては大変厳しい条件である。開発担当者の中にも冷房効果を疑問視する声があったと聞く。果たして十分な効果が得られることが分かり、今では鉄道、バスなど公共交通機関はもとより、家庭から学校まで冷房が行き渡り、これが常態になった。

導入当初の冷房車と非冷房車が混在していた頃は、駅で朝電車を待っていて、今では見慣れた蒲鉾型の装置が屋根に載った車両が見えれば「今日は当たり」、窓が全開になった電車が到着すれば「はずれ」となったのは懐かしい思い出である。

さて時代は移り、現在は窓を少し開けて走るのが新しい常態である。新型コロナウィルスが車内に滞留するのを防ぎ、拡散させるためである。当初3月頃は「窓から花粉が入ることもあるので、近くのお客様に配慮を…」だったものが、6月になって冷房が入り今度は「窓は5cmから10cm開けて走行することにより、車内換気と冷房の両方の効果が得られます」のアナウンスに変わった。JR東日本のホームページの説明によると、窓を5~10cm開けて走行することで車内の空気は6~8分程度で入れ替わり、冷房効果はほとんど変わらないということである。

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時代とともに自然環境も社会環境も変わり、列車の窓から入ってくるものも、車内風景も様変わりである。私の担当するパーソナルコンピュータでいえば、当初のブラウン管の画面の大きな機械から、液晶の画面で本体とともに大変コンパクトになり、実習室も普通教室程度の広さでおさまるようになった。

しかし今回はコンパクトな設計が密集・密接で裏目になり、席の間にアクリル板の設置など、新しい生活習慣に合わせたものへの対応に迫られている。学生諸君には、20年、30年先にどのような生活習慣が常態になっているか、柔軟な対応力を身につけておくとともに、楽しみにしていてほしいものである。
(by 西川)