授業と通信端末

通信端末としてすっかり定着したスマホだが、学生が授業中にこれを見ることに教員の賛否は分かれているようだ。私の担当する器楽Ⅰ・Ⅱの授業は、通常の授業とは異なる個人レッスンであるから、学生は自分がレッスンを受けている最中にスマホを見ることは基本的に有り得ない。また、自分の順番を待っている際は、電子ピアノで練習しているから手にスマホをとる余地はないように思われる。しかし、私はスマホを授業で積極的に活用すべきと考えており、机上(ピアノ上)にスマホを出していることを推奨すらしている。

スマホはアプリによりメトロノームになるから、学生は電子メトロノームを別に所持する必要がなくなった。楽譜に指示されたテンポをスマホ調べることができるし、むしろそうすべきである。また、スマホの検索機能は、楽譜に付されたイタリア語による速度や発想記号も瞬時に調べることができる。さらに、知らない曲は検索して音、さらに映像で実際の音楽を試聴することができる。

ピアノの個人レッスンは一般の授業に比べると生産性が低く、その向上に一貫して努めてきた私は、こうした機能を積極的に活用して授業の効率化を目指すべきと考えている。だから、学生には学習中に感じた疑問点は即座に自ら調べることを推奨している。中には無関係なサイトを見る不心得な学生がいるかもしれないが、それを禁じるのではなく、そういうことの起こり得ない意味のある授業を展開したいと念じている。

私が小学生の頃、音楽室で聴くレコード鑑賞は心ときめく時間だった。自身が新任教員になった頃は、ビデオの出現で一般には馴染みの薄かったオペラの鑑賞が身近となった。そうした状況が嬉しくて、一時、授業でさかんに視聴覚教材を活用した時期かあったのだが、ここのところ、逆にほとんど活用しなくなった。代わって、学生に「調べておけ」と指示し検索キーワードを伝えるのみである。授業外で可能なことは事前準備として学生自らが行うべきなのである。そのことは、学生が社会に出た際、サイバースペースから知識を得る行為へと連なる。

授業中のスマホに対する私の見解は以上の通りだが、担当教員によってそのスタンスは異なって当然である。学生はそれぞれの授業において、スマホの活用については担当教員の指示に従い、適切なマナーで受講すべきである。

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