著者の責任 編集者の責任

2017年度後期の講義「仕事とジェンダー」で使用したテキストに、首を傾げざるを得ない下記の記述(下線部「1週間」は「1日」の間違い、同「1日平均だとわずか5分半」は不要)があった。

(以下同書より引用)

『     夫は1週間で39分しか家事をしていない!?

世の中の夫は、いったいどれぐらい家事をおこなっているのでしょうか。総務省の「平成23年度社会生活基本調査結果」(2011年)のなかに、その実情がわかる調査結果がありました。

夫が働いていて妻が専業主婦という家庭の場合、1週間で家事(育児を含む)にかける 時間の平均は、妻が7時間43分なのに対して夫は46分です。

では共働き世帯はどうかというと、妻が4時間53分なのに対して夫は39分。つまり妻が専業主婦だろうが働いていようが、夫の家事時間にはまったく変化かない どころか、むしろ妻が働いている夫のほうが少ないぐらいなのです。

ちなみに1週間の家事時間が39分ということは、1日平均だとわずか5分半です。ほとんど家事をしていないといってもいいでしょう。』(引用終わり)

「平成23年社会生活基本調査 生活時間に関する結果」のデータを読み間違え(「1日の生活時間の配分」という記述もあり、読み間違えは考えられないのだが)、論を展開したため、「1日平均だとわずか5分半」との帰結(一見してわかる間違いに気づくこともなく)に至ったと思われる。「ワーク・ライフ・バランスのシンボル的存在」と言われているT経営研究所社長職歴任者の著書としてはお粗末極まりない。

ところで、このように「お粗末極まりない」書籍が出版されてしまった責任の一端は、編集者にもあるのではないだろうか。一見してわかる間違いに著者が気づかなかった場合、それに気づき、指摘し、訂正させるのも編集者の仕事であろう。

しかし、最近は一見してわかる間違いに、「著者も気づかなかった」し、「編集者も気づかなかった」ゆえの「お粗末極まりない」書籍が目につく。由々しい問題である。「著者の責任」はもとより「編集者の責任」も問いたい。(by 杉田)