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小説 こども学科とわたし

コピー こども学科とわたし

「こども学科とわたし」

 「なりたい私に向かって、羽ばたく力を手に入れる。」
社会人になり、いかなる困難に直面しようとも、千葉経済大学短期大学部での学びを糧に、乗り越えてきた先輩が大勢います。こども学科で学んだ卒業生への取材を基に、1話完結の短編小説を連載していきます。
 第2話「嵐の一日」

 保育園の中庭からは、すべての教室が見渡せる。芝生を照らす太陽を見て、今日も一日頑張れそうだと思った。何を隠そう、先日、私は札幌に飛んだ。「嵐」のコンサートを見るために。私に限っていえば、「嵐」が表紙を飾る雑誌は何でも買うし、天気予報の「嵐」にも即座に反応する。ファンならではの「あるある」として、どなたか賛同してくれるだろうか。
 1階の「梨組」に、1、2歳児が集まってきた。園児20人。私を含む3人の先生で担当している。

保育園外観

 順次降園の時間を迎えていた。あかね色に染まる夕焼けが美しい。中庭に佇む私に「大丈夫だよ!」と肩を叩いてくれたのは、同じく経済短大を卒業した同僚だった。
 梨組では今日、「あるある」では済まされないことが起きた。園児が立て続けに、複数の園児にかみついたり、引っ掻いたり。芽生えた自我とは裏腹に、自分の気持ちを言葉にできない年齢。とはいえ、いかんともし難いとは言っていられない。加・被害者園児のケアをし、状況を説明した両方の保護者に謝罪。先程、対応を終えたところだった。

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 「お人形を本物の赤ちゃんだと思って。」
 夜、真っ暗な布団の中で、不意に浮かんできたのは、経済短大の乳児保育の授業で講じていた先生の言葉だった。保育士になって2年。園児にも常々伝えてきたつもりだ。ぬいぐるみにお布団を掛ける園児を見た時、こちらの意思を理解してくれたんだと、無性に嬉しかった。「かみつきがあったらどうしよう。」私が不安を抱けば、当然、それも園児に伝わってしまうことに気づいた。

Tさん②

 12月恒例「冬のお楽しみ会」の日。梨組の先輩である3〜5歳児が主体となり、歌や楽器演奏を披露する園の一大イベントだ。5歳児のキャンドルサービスが静かに始まる。
 あれからの私は、クラスの先生ととことん話し合い、かみつきが発生しやすい場所、時間帯を予測することで、未然に防げるようになった。「これが欲しかったんだね。」言葉を継げない園児の気持ちを代弁することで、意思の疎通をする。確実に何かが伝わる。そう、一つひとつ、丁寧に。
 宴もたけなわ、クリスマスソングを歌う先輩園児の姿に、梨組のみんなを重ねていた。来年以降、お楽しみ会の演目初参加となる彼ら。ひと回りもふた回りも成長した姿を想像するだけで、胸に込み上げてくるものがあった。

取材:保育コース(2017年度卒 T.Mさん)保育園勤務
【参考文献】先輩に学ぶ 乳児保育の困りごと解決BOOK 1歳児クラス編、2歳児クラス編
監修:横山洋子(千葉経済大学短期大学部 こども学科教授)
著者:波多野名奈(千葉経済大学短期大学部 こども学科准教授)

Tさん④

小説をお読みになり、千葉経済大学短期大学部の入試についてご興味のある方はこちらもどうぞ

第1話「旅立ちの日に」
 
 保護者、園児、園児、保護者、園児、卒園児......。
 園庭には、順番を待つ長蛇の列ができ、最後尾に立つ私を見つけては、園児が駆け寄ってくる。しゃがんだ私は、めいっぱい両手を広げた。
「まさみせんせいー、おはよう。」
子どもが笑顔になる、この瞬間がたまらなく嬉しい。

幼稚園外観

 経済短大を卒業し、この幼稚園で社会人になった。初めての年少さん。身だしなみに気をつけ、元気よくあいさつをし、保護者への気配りもする。毎日をこなすことで精いっぱい。それでも園児は泣き荒ぶ。
 ブラウスのボタンに苦戦する子を見ながら、パッと浮かんだのが、経済短大の先生の言葉だった。
「泣いているからやってあげるのではなく、次に泣かずにできるよう、手助けしてあげよう。」
ボタンを1個だけ、はめてあげた。
「もう一個は、自分でやってみようか。」
私の声に園児は顔を上げ、コクンとうなずいた。経済短大での教えに助けられた瞬間だった。

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 行列は時折舞う砂ぼこりに、一瞬、大きく乱れたものの、子どもたちの笑い声は絶えない。
 2年目。年長を担当することに戸惑った。主任は夏子先生。おっかなそうで、内心、ビクビクしていた。就学に向け生活リズムを意識させるなど、これまた新たな課題で精いっぱい。個性的な園児の対応に追われ、クラスが立ち行かなくなったあの日。できない自分にいら立ちながら職員室に戻ると、夏子先生が何も言わずに紅茶を入れてくれた。
「ありがとうございます。」
口をつけると、ほんのり甘い。カップの底には、星みたいにコンペイトウが散らばっていた。
「子どもの反応を見ながら、その子に合う接し方を探していけばいいよ。」
先生の言葉に顔を上げた瞬間、涙がこぼれた。
 経済短大時代、教育実習に行った時、巡回中の先生に同じような言葉をいただいたことが瞬時によみがえる。
 うまくいかないことだってある。日々、実践と経験を積み重ねていくしかないんだ。

幼稚園②

 夏子先生みたいな先生になりたい。
 目標を見つけ、今や5年目。私も「主任」という立場になった。製作や園の行事のカリキュラムを立てるなど、園の運営にも携わっている。
 行列は、先ほどより長くなっているようだった。さて、何て言葉をかけよう。お別れの挨拶をするべきなのに、気がつけば、自分のことを振り返っていた。ご家族の転勤に伴い、今日で退職されてしまうなんて。
 園庭に連なる行列の先には、夏子先生がいる。 


                     
 
取材:初等教育コース(2014年度卒 N.Mさん)幼稚園勤務
【参考文献】ユーキャンのまんが 保育者1年目の教科書(株式会社 自由国民社)
      監修:坂東眞理子(昭和女子大学総長)、横山洋子(千葉経済大学短期大学部 こども学
      科教授) 

幼稚園④

小説をお読みになり、千葉経済大学短期大学部の入試についてご興味のある方はこちらもどうぞ
※こども学科は、保育士・幼稚園教諭を目指す「保育コース」と小学校教諭・幼稚園教諭を目指す「初等教育コース」の2つの専門コースに分かれています。
初等教育コース
取得できる資格
小学校教諭二種免許状、幼稚園教諭二種免許状
(卒業と同時に両方の免許状の取得が可能)

オプション資格:
レクリエーション・インストラクター、リトミック指導者、図書館司書、児童指導員


保育コース
取得できる資格
保育士資格、幼稚園教諭二種免許状
(卒業と同時に両方の資格・免許状の取得が可能)

オプション資格:
レクリエーション・インストラクター、リトミック指導者、社会福祉主事任用資格

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