授業「教育心理学」について

新しい年度が始まってしばらくたちました。新一年生も、少し短大での生活に慣れたのか、授業の中でみせる表情が和らいできました。今回は、そんな一年生を対象に、こども学科教員の私(磯村)が担当している授業について少しお話ししたいと思います。

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 この授業では、「どうしたら学ぶ意欲は高められるのか」「どんな学習方法(教育方法)がよいのか」「いじめの問題をどう考えたらいいのか」というようなテーマを取り上げています。

「教育心理学」ときくと、高校までの授業で学んできたこととはかけ離れた、全く新しい何かを一から学ぶのだろうと思うかもしれません。しかし、それは全く違います。

この授業の最初に毎年、私が受講する皆さんに伝えることの一つは、今学生として授業を受けている皆さんは、すでに教えることや学ぶことについてある意味ベテランであるということです。

どの人も、生まれてからそれまで20年近くの人生の中で、たくさんの「教わる」「学ぶ」経験をしてきているはずです。みんな子どもという当事者として経験を積んできているわけで、いわゆる「学校教育」の中での経験ですら10年以上です。一つのことを10年続けたら、人はそのことについてそれなりに何かをつかんでいるものです。みんな、それぞれの経験の中から、「学ぶこと」や「教える・教わること」について“こういうものだ”というイメージや、“これが嫌い(嫌い)”“これがいい(悪い)”といった評価の感覚をすでに持っているはずなのです。まっさらな状態で「学ぶ」「教える」について学び始める人はいないということです。

それらの“こういうものだ”“こうあるべきだ”というイメージ、好き嫌い、良し悪しの感覚―「信念」や「価値観」と呼ばれるものは、あまり意識されることがありません。しかし一方で、教師や保育者となったとき、大人として子どもを育てる側に回ったとき、とても大きな影響力を持つといわれています。意識せずにいるかもしれない信念や価値観が、子どもと関わる時の“こうしよう”“こうした方がいい”という判断や、子どもの姿を理解する際のベースになることが多いのです。

この授業の目的の一つは、それぞれの人が意識せずに持っているそうした信念や価値観を意識化することです。そのために一番よい方法は、他の人に言葉で語って伝えること、自分とは異なった信念や価値観に接することだと私は考えています。授業では、さまざまなテーマについて、自分の考えを他の人と伝え合う機会をたくさん設けるようにしています。

そういう経験を通じて、それぞれの人が持っている信念や価値観が深まったり動いたりするといいなと思っています。

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(磯村)