ラオスの図書館視察を終えて

日本のNGO団体の依頼を受けて10月6日から11日にかけてラオス人民民主共和国(Lao People’s Democratic Republic)の図書館視察に行ってきました。以前勤務していた立川市図書館で走っていた移動図書館車を15年前にラオスの国立図書館に差し上げたことがきっかけで、その後もラオスの子どもたちに絵本を贈る運動を続けてきました。その関係もあり、今回、ラオスの図書館視察の依頼が舞い込みました。

(フランスの統治下にあったラオス、首都ヴィエンチャンにはパトゥーサイ(凱旋門)がある)
ラオスは、中国、ミャンマー、タイ、カンボジア、ベトナムの5カ国と国境を接し、日本の本州ほどの広さを持つ内陸国です。人口は約612万人(2009年現在)。民族もモン族、ヤオ族、アカ族など多様で、その数68ともいわれ、独自の文化を育んできました(ラオス政府観光局Webサイト2013参照)。今回は、首都ヴィエンチャン近郊の村にあるコミュニティ図書館を5ヶ所(移動図書館事業視察1ヶ所を含む)、中等学校に設置された図書館1ヶ所、ヴィエンチャン都公共図書館、ヴィエンチャン県立図書館、そして国立図書館を訪問しました。

(タトーン村小学校コミュニティ図書館、日本の支援団体によって建てられていた)

(タトーン村小学校コミュニティ図書館の内部、整理された絵本が並ぶ)
村々にあるコミュニティ図書館は、日本の支援団体や個人の支援によって建てられています。所蔵資料は絵本が中心で日本から贈られたものも多くありました。主に学校の先生が図書館の管理・運営を行っていますが、それぞれの図書館によって利用の実態は異なっていました。活発に活動しているところもあればそうではないところもあります。ラオスの出版事情から資料が少ないことは否めませんが、担当者の図書館に対する意識や知識・技術の不足も感じました。今後、より充実した人材育成への取り組みが必要であると思います。

(日本からの支援で贈られた絵本も並んでいる)
ヴィエンチャン都公共図書館のスタッフが行う移動図書館活動にも同行しました。村の小学校の校庭に移動図書館車を乗り付け、ゴザを敷いて子どもたちを集め、パフォーマンスが始まります。絵本などが入った箱のなかから自分が読みたい本を選ばせ、みんなで読み合うことから始まり、クイズや絵本の読み聞かせも行われます。上級生が下級生に本を読んであげる光景や読み聞かせを見る子どもたちの目の輝きがとても印象的でした。

(ヴィエンチャン都公共図書館のスタッフが行うサムク小学校での移動図書館活動)
実は、14年前にラオスを訪れているのですが、その時に比べ図書館事情も大きく様変わりしていました。村々にコミュニティ図書館が設置され、ヴィエンチャン都公立図書館がオープンし、新国立図書館の建設も始まっています。ラオス大学には図書館情報学コースが設置され、専門スタッフの養成が行われていました。そしてラオス図書館協会が発足していました。まだまだ課題が多いものの、国内の図書館を統合する仕組みができ、かつ国際的な活動への足掛かりができたとも言えます。これは、前国立図書館長であるコンドゥアン先生をはじめとするラオス図書館関係者の努力と情熱の賜物だと思います。この発展を如何に継続させていくのか、そのために何が必要なのか、我々の支援の方法も含めて考えていく必要があると感じました。

(前国立図書館長のコンドゥアンさん、現国立図書館長のカンタマリーさんと記念撮影)
首都ヴィエンチャンはモータリゼーションの波の中にありました。これを否定するものではありません。しかし、首都を少し離れれば昔ながらののどかな生活が営まれていました。これも私にとってはうらやましい光景でした。ラオスはまだまだ発展途上の国です。だからこそ、豊かな感性をもった子どもたちを育てることが必要だと思います。そのために図書館が必要であり、そのための支援は意義のあることだと思います。また、図書館の大きな使命は、自立支援であり、その意味でも図書館の普及と図書館に関わる人の養成は、ラオスの自立につながると思います。“支援に依存することから抜け出すための支援”が必要になってきているのかもしれません。子どもたちの目の輝きを見るとき、ラオスの図書館が果たす役割の大きさを感じるとともに、その将来に期待する、そのようなラオス図書館紀行となりました。(司書課程担当教員:齊藤誠一)